気管支喘息では、慢性的に気管支で炎症が生じており、その結果として、気管支が狭くなったり、刺激に対して反応しやすい状態となり、咳、喘鳴、呼吸困難などの症状が引き起こされています。
ステロイド吸入を行い、気管支に直接薬を届けることで、気管支の炎症を抑えて、喘息症状をコントロールすることができます。
ほとんどの方はステロイドと気管支拡張薬の吸入を併用することで、喘息症状がコントロールできるのですが、一部に吸入治療を行なっても十分に症状が改善しない場合があります。
そのような場合、次の治療選択肢として、ステロイド内服、および生物学的製剤の使用が挙がります。
ステロイド内服は有効な治療ですが、長期間内服すると、免疫力の低下、糖尿病、骨粗鬆症などの副作用が出現することがあり、できれば避けたい治療です。
生物学的製剤とは、病気の発症や悪化に関わっている物質を直接ブロックするように設計された薬剤です。喘息に限らず、リウマチ、潰瘍性大腸炎、乾癬などの慢性的な炎症性疾患で使用されています。
気管支の炎症を火事に例えると、ステロイド吸入は放水して消火するような治療ですが、生物学的製剤は火元となる火薬に着火するのを直接防ぎ、そもそも火事が起きないようにする治療です。
生物学的製剤は注射剤ですので、薬剤によって異なりますが、月に1回から2回投与する必要があります。
吸入薬による治療でも喘息症状が十分に効果が得られていない方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。