気管支喘息と新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症が猛烈に流行しています。

現在流行しているオミクロン株は、比較的軽症で済み、重症化する可能性も低いと考えられていますが、それでも持病をお持ちの方にとっては、心配が非常に大きい状況ではないかと推察します。

 

気管支喘息の方にとっての新型コロナウイルス感染症に関して、現在以下のようなことがわかっています。

 

① 気管支喘息の方がそうでない方に比べて、新型コロナウイルス感染症に感染しやすいということはなく、むしろ、気管支喘息の方では、新型コロナウイルスが体内に侵入する際の入り口となるACE2というもの発現量が少ないため、新型コロナウイルス感染症にかかりにくいという報告があります。

 

② 気管支喘息の方が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまった場合、重症化しやすいということはありません。

 

③ 気管支喘息の方が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまった場合も、吸入ステロイド治療の使用により重症化することはなく、安全に使用できます。

 

④ 現在の気管支喘息のコントロール状況が悪い人ほど、入院するリスクが高くなります。

 

以上のことから言えることは、気管支喘息の方が新型コロナウイルス感染症に罹患しても、重症化しやすいということはありませんが、日常の吸入治療を怠り、喘息のコントロールが悪い状態にあると入院のリスクが高まり、また、新型コロナウイルス感染症に対する吸入ステロイド薬の悪影響も乏しいため、基本的な感染対策(3密の回避、マスク、手指消毒)を行いながら、毎日の吸入治療を継続していくことが最も重要である、ということではないでしょうか。

2022年01月30日