高血圧を治療中の方で、なかなか血圧が下がりきらない場合があります。
特に起床時の血圧が高いような場合には、睡眠時無呼吸症候群が潜んでいる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群とは文字通り、睡眠中無意識に無呼吸、低呼吸(通常より小さな呼吸、もしくは酸素飽和度の低下)を反復的に繰り返す疾患です。
典型的な症状としては、日中の眠気や疲労感がありますが、その他に睡眠中の呼吸困難(窒息感)、朝の頭痛、不眠を自覚することもあります。
その一方で自覚症状のない、あるいは気づいていない方も相当数存在すると考えられます。
高血圧の方の実に30%に睡眠時無呼吸症候群が合併していると報告されています。
睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療を受けることで、収縮期血圧 2.6 mmHg、拡張期血圧 2 mmHg とわずかですが血圧が低下します。
特にコントロール不良な高血圧の方の場合は、収縮期血圧 6.7 mmHg、拡張期血圧 5.9 mmHg の降圧効果があるとされます。
血圧のコントロールが不十分な方は、自覚症状がなくても、一度は睡眠時無呼吸症候群が存在する可能性を疑う必要があると考えます。
※ この記事は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」を参考に、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を念頭に記載しています。